ディズニーリサーチ(Disney Research、アメリカ、グレンデール)が先月公開したMRシステムの紹介動画です。
ご覧になってお分かりのように、ベンチ(マジックベンチ)に座って目の前の壁に掛けられたディスプレイに映る自分を見ていると、画面の中の自分の前を、小動物のキャラクタが横切ったりし始めます。もちろんその小動物は実際に存在しているわけではなく、画面の中にしか存在していません。リサーチ・アソシエイトのカイナ・マッキントッシュ(Kyna McIntosh)さんが動画の中で言っているように、フィジカルスペースとバーチャルスペースを組み合わせているというわけです。
同様の仕組みは、数年前から世界中のいろいろな企業や団体が研究開発していますが、マジックベンチの特徴は、現実世界の映像と仮想世界の映像を、まるでひとつのデジタル空間に存在しているようにみせるために、細部に渡ってこだわって作られている点にあります。
たとえば、
- あなたの手が、横にいるキャラクターの頭の上を通過すれば、手の影もキャラクターの頭の上を横切る
- あなたの横にいるキャラクターの前(身体の前面)や後ろ(背中側)にあなたの手を動かすことができる
- あなたの横にいるキャラクターの大きなイビキでベンチが振動する
- 画面の中に雨が降ってきたら、横にいるキャラクターが差している傘の中に入ることができる
- あなたの横にいるキャラクターからあなたへ、物の受け渡しができる
- 気難しいカエルにうかつに手を伸ばしただけで、カエルに怒られる
- あなたが水没していくと水面に波紋が立ち始める
- 水上から見た水中の映像、水中から見た水上の映像には水の屈折率の影響が反映される
…などなど。リアルタイム処理でありながらここまで自然に見える映像合成を実現するというのは、高度な技術力はもちろんのこと、ディズニーのこだわりを感じさせてくれます。
でも、これはまだ完成品ではないようです。
お気づきのように、映像の中では、このシステムが実用公開される時期について語られていません。より完成度を高めてから実用化されるのでしょう。
今後の展開が楽しみです。